2024年4月29日に開催いたしました近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」の映像配信(有料)のご案内です。配信期間は、2024年7月23日〜2025年12月31日(予定)です。ぜひ、HYAKKEN MARKETにてこの機会にご視聴ください。
<近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」映像の詳細および価格について>
HYAKKEN MARKET / 近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」【第1部】映像(約140分)
HYAKKEN MARKET / 近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」【第2部】映像(約115分)
【第1部:別日本が、あったっていい。】
一本の竹の棒とともに森山未來が琵琶湖と溶けあっていく。「琵琶湖のマレビトになってほしい」と松岡に託された森山未來氏。そのダンス映像によって、近江ARS TOKYOが開いた。
近江ARSのプロデューサー和泉佳奈子が開会挨拶。松岡から「近江には日本の謎がある」と現近江ARSのチェアマン、中山雅文を紹介されたところから、手探りの歩みがはじまった。 「近江ARSと言えばこの人」と、和泉が松岡と共に牽引役を担う三井寺長吏の福家俊彦を呼ぶ。福家も近江ARS始動の瞬間を振り返りつつ、「近江ARSは未来の人たちのための場」と宣言。
「80歳になった今、私のノスタルジアを近江にしたい」。舞台袖の暗がりから、松岡がやっと姿をあらわした。「方法日本」を求め、母なるもの、父なるものを追いかけ、ジェンダーやセクシャリティの境をまたぐ矜持に至った来し方を振り返る。
松岡からのバトンを義仲寺(滋賀県大津市)で受け取ったのが、学芸員の横谷賢一郎(近江ARS)が、新緑に彩られた境内を案内した。
「松岡さんが芭蕉に見えてきた」。スクリーン越しの横谷に続いて、江戸文化研究者の田中優子氏がステージにあがる。松岡から得てきた学びを振り返り、これからの松岡の近江への道行に伴走する覚悟を示す。
遠くで鳴り響いていた三味線のボリュームがあがる。三味線演奏家・作曲家の本條秀太郎氏と弟子の秀慈郎氏の演奏が会場を包む。『見立て三井寺』(作曲・本條秀太郎/作詞・松岡正剛)から、バルトーク、シベリウス、そして、バッハ。意外な選曲に、一同が耳を傾ける。
「近江には、音も、お茶もある」と松岡の紹介を受け、遠州流の13世家元、小堀宗実氏がステージにあがる。何度となく松岡からのお題に苦しんできた。「茶の湯は、世俗を離れて行なわれてきたもの。もともと「別」なもの」と小堀氏が、茶の湯の本来を語る。
第一部のクライマックスを飾るのは、前衛書家、森田子龍を受け継ぐ稻田宗哉氏だ。会場中が息をのんだ数秒後、舞台上に設えられた和紙に「境」という文字が浮かびあがった。
【第2部:仏は、どこにおはします?】
舞台の奥から一筋の光が差し込む。白い衣装に身を包んだドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダ氏が全身で伸びやかに歌いあげ、第二部が幕開けした。
三井寺長吏、福家俊彦(近江ARS)が再び舞台にあがった。近江ARSの柱の一つである仏教の本来を改めて見つめたいと、4人の多彩で強力な応援団を舞台に呼び込んだ。
「還生の会」で何度も登壇してきた仏教学者の末木文美士氏は、あらためて「言葉」の限界と可能性をとりあげた。言葉の奥には、幾層もの意味やイメージが蠢いていて、ひとときも止まることはない。
日本学研究者の佐藤弘夫氏は、鎌倉時代に描かれた疫病神の絵を見せ、神、仏、死者、草木、石、そして、人間、無数の存在が関係と秩序を保ちながら生きると捉える日本人の自然観・世界観を紹介した。
女子学研究者の米澤泉氏曰く、すでに「サブカルのど真ん中に仏がおわします」なのだ。仏教に対して、信仰や鑑賞の対象としてではない「別」な見方をし、日本の閉塞を破る力を仏教が持つと確信しているのだ。
桃色の法衣に身を包んだ石山寺の座主鷲尾龍華(近江ARS)は、咲き終わった後に乾燥させた蓮の花を慈しむように脇に携え、「祈りは現実と乖離した空想などではない」と言いきる。
次に、松岡が「もっとも異色なゲスト」とステージに呼んだのが、元外交官の佐藤優氏だ。「最近、松岡さんを追いかけている」という意外な自白から始め、唐突にこの場に集った全員に「責任がある」と迫る。
佐藤氏と同様に鋭い眼差しの左官職人、挟土秀平氏が舞台にあがり、東北地方で12年かけて修復したという土蔵を紹介し、多くの土蔵が修復と維持が叶わずに壊されていく日本の現状に警鐘を鳴らす。
最後の登壇者は、仏師の加藤巍山氏だ。松岡と加藤氏が対面するのは、この日が初めて。「人間は一生のうちに逢うべき人にる。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に」という言葉を噛みしめる。
「どうしても」と請われた陶芸家の樂直入氏が松岡の向かいに立った。二人の間に言葉とともに深い時間が流れる。樂氏にとって、松岡は人生のナビゲーターであり続け、松岡にとっても、樂氏は特別な「技の人」だという。
最後に、松岡と和泉と近江ARSメンバー全員が登壇。少年のように栗の巨木の切り株に入り込んだ松岡とともに、ここまでの感謝とここからはじまるもう一つの近江ARSに、メンバー一同が身を引き締める。
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<イベント概要>
近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」
◎日時|2024年4月29日(月・祝)13:30-17:30
◎会場|草月ホール(東京都港区赤坂)
◎出演 |松岡正剛(編集工学者)
福家俊彦(三井寺 長吏)
末木文美士(未来哲学研究所所長)
本條秀太郎(三味線演奏家・作曲家)
田中優子(江戸文化研究者)
小堀宗実(遠州茶道宗家十三世家元)
稻田宗哉(書家)
ドリアン・ロロブリジーダ(ドラァグクイーン)
加藤巍山(仏師・彫刻家)
佐藤弘夫(日本学研究者)
挾土秀平(左官)
佐藤 優(作家・元外交官)
米澤 泉(女子学研究者)
鷲尾龍華(石山寺 座主)
和泉佳奈子(百間 代表)
◎主催|近江ARS
◎後援|滋賀県
◎企画|HYAKKEN、EDITHON
◎進行|ポマト・プロ、三浦ニュールーム
◎振舞|叶 匠壽庵、冨田酒造、CROWD ROASTER
◎室礼|三井寺、石山寺、六角屋、丸三ハシモト
◎表方|長浜まちづくり
◎裏方|中山倉庫、中山事務所
◎空間|中村碧
◎デザイン|佐伯亮介
◎編集|広本旅人
◎映像|MESS
◎音楽|kengoshimiz
◎中継|横谷賢一郎
◎伴奏|上杉公志
◎協力|松岡正剛事務所、編集工学研究所
◎プロデュース|百間
<近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」映像の詳細および価格について>
HYAKKEN MARKET / 近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」【第1部】映像(約140分)
HYAKKEN MARKET / 近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」【第2部】映像(約115分)
【第1部:別日本が、あったっていい。】
一本の竹の棒とともに森山未來が琵琶湖と溶けあっていく。「琵琶湖のマレビトになってほしい」と松岡に託された森山未來氏。そのダンス映像によって、近江ARS TOKYOが開いた。
近江ARSのプロデューサー和泉佳奈子が開会挨拶。松岡から「近江には日本の謎がある」と現近江ARSのチェアマン、中山雅文を紹介されたところから、手探りの歩みがはじまった。 「近江ARSと言えばこの人」と、和泉が松岡と共に牽引役を担う三井寺長吏の福家俊彦を呼ぶ。福家も近江ARS始動の瞬間を振り返りつつ、「近江ARSは未来の人たちのための場」と宣言。
「80歳になった今、私のノスタルジアを近江にしたい」。舞台袖の暗がりから、松岡がやっと姿をあらわした。「方法日本」を求め、母なるもの、父なるものを追いかけ、ジェンダーやセクシャリティの境をまたぐ矜持に至った来し方を振り返る。
松岡からのバトンを義仲寺(滋賀県大津市)で受け取ったのが、学芸員の横谷賢一郎(近江ARS)が、新緑に彩られた境内を案内した。
「松岡さんが芭蕉に見えてきた」。スクリーン越しの横谷に続いて、江戸文化研究者の田中優子氏がステージにあがる。松岡から得てきた学びを振り返り、これからの松岡の近江への道行に伴走する覚悟を示す。
遠くで鳴り響いていた三味線のボリュームがあがる。三味線演奏家・作曲家の本條秀太郎氏と弟子の秀慈郎氏の演奏が会場を包む。『見立て三井寺』(作曲・本條秀太郎/作詞・松岡正剛)から、バルトーク、シベリウス、そして、バッハ。意外な選曲に、一同が耳を傾ける。
「近江には、音も、お茶もある」と松岡の紹介を受け、遠州流の13世家元、小堀宗実氏がステージにあがる。何度となく松岡からのお題に苦しんできた。「茶の湯は、世俗を離れて行なわれてきたもの。もともと「別」なもの」と小堀氏が、茶の湯の本来を語る。
第一部のクライマックスを飾るのは、前衛書家、森田子龍を受け継ぐ稻田宗哉氏だ。会場中が息をのんだ数秒後、舞台上に設えられた和紙に「境」という文字が浮かびあがった。
【第2部:仏は、どこにおはします?】
舞台の奥から一筋の光が差し込む。白い衣装に身を包んだドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダ氏が全身で伸びやかに歌いあげ、第二部が幕開けした。
三井寺長吏、福家俊彦(近江ARS)が再び舞台にあがった。近江ARSの柱の一つである仏教の本来を改めて見つめたいと、4人の多彩で強力な応援団を舞台に呼び込んだ。
「還生の会」で何度も登壇してきた仏教学者の末木文美士氏は、あらためて「言葉」の限界と可能性をとりあげた。言葉の奥には、幾層もの意味やイメージが蠢いていて、ひとときも止まることはない。
日本学研究者の佐藤弘夫氏は、鎌倉時代に描かれた疫病神の絵を見せ、神、仏、死者、草木、石、そして、人間、無数の存在が関係と秩序を保ちながら生きると捉える日本人の自然観・世界観を紹介した。
女子学研究者の米澤泉氏曰く、すでに「サブカルのど真ん中に仏がおわします」なのだ。仏教に対して、信仰や鑑賞の対象としてではない「別」な見方をし、日本の閉塞を破る力を仏教が持つと確信しているのだ。
桃色の法衣に身を包んだ石山寺の座主鷲尾龍華(近江ARS)は、咲き終わった後に乾燥させた蓮の花を慈しむように脇に携え、「祈りは現実と乖離した空想などではない」と言いきる。
次に、松岡が「もっとも異色なゲスト」とステージに呼んだのが、元外交官の佐藤優氏だ。「最近、松岡さんを追いかけている」という意外な自白から始め、唐突にこの場に集った全員に「責任がある」と迫る。
佐藤氏と同様に鋭い眼差しの左官職人、挟土秀平氏が舞台にあがり、東北地方で12年かけて修復したという土蔵を紹介し、多くの土蔵が修復と維持が叶わずに壊されていく日本の現状に警鐘を鳴らす。
最後の登壇者は、仏師の加藤巍山氏だ。松岡と加藤氏が対面するのは、この日が初めて。「人間は一生のうちに逢うべき人にる。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に」という言葉を噛みしめる。
「どうしても」と請われた陶芸家の樂直入氏が松岡の向かいに立った。二人の間に言葉とともに深い時間が流れる。樂氏にとって、松岡は人生のナビゲーターであり続け、松岡にとっても、樂氏は特別な「技の人」だという。
最後に、松岡と和泉と近江ARSメンバー全員が登壇。少年のように栗の巨木の切り株に入り込んだ松岡とともに、ここまでの感謝とここからはじまるもう一つの近江ARSに、メンバー一同が身を引き締める。
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<イベント概要>
近江ARS TOKYO「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」
◎日時|2024年4月29日(月・祝)13:30-17:30
◎会場|草月ホール(東京都港区赤坂)
◎出演 |松岡正剛(編集工学者)
福家俊彦(三井寺 長吏)
末木文美士(未来哲学研究所所長)
本條秀太郎(三味線演奏家・作曲家)
田中優子(江戸文化研究者)
小堀宗実(遠州茶道宗家十三世家元)
稻田宗哉(書家)
ドリアン・ロロブリジーダ(ドラァグクイーン)
加藤巍山(仏師・彫刻家)
佐藤弘夫(日本学研究者)
挾土秀平(左官)
佐藤 優(作家・元外交官)
米澤 泉(女子学研究者)
鷲尾龍華(石山寺 座主)
和泉佳奈子(百間 代表)
◎主催|近江ARS
◎後援|滋賀県
◎企画|HYAKKEN、EDITHON
◎進行|ポマト・プロ、三浦ニュールーム
◎振舞|叶 匠壽庵、冨田酒造、CROWD ROASTER
◎室礼|三井寺、石山寺、六角屋、丸三ハシモト
◎表方|長浜まちづくり
◎裏方|中山倉庫、中山事務所
◎空間|中村碧
◎デザイン|佐伯亮介
◎編集|広本旅人
◎映像|MESS
◎音楽|kengoshimiz
◎中継|横谷賢一郎
◎伴奏|上杉公志
◎協力|松岡正剛事務所、編集工学研究所
◎プロデュース|百間